1997年、文学、旅

読んだ本、日々感じたことなど

わずかな自分自身


仲の良い友達が留学に行くので、今日は簡単な送別会のようなものをしてきた。1年で帰ってくるわけだし、特別しんみりするつもりはなかったのだけれど、少しの間でもお別れするのはちょっともの悲しい。

 

「さよならを言うことは、少しの間死ぬことだ」

 

ロンググッドバイ(村上訳)の有名なセリフで、小説のセリフの中でも最も好きなもののうちの1つだ。

 

と言うのも、このセリフには元になるものがあって、それはフランスの詩人、エドモン アロクールの詩だ。

 

《Partir, c'est mourir un peu,
   C'est mourir à ce qu'on aime 
   On laisse un peu de soi-même
   En toute heure et dans tout lieu.》

 

「離れること、それは少しの間死ぬことだ

   愛する人のために死ぬことだ

   私たちはわずかな自分自身を

   全ての時間、全ての場所に残してゆく」

 

詩はもっと続くのだけれど、この後半部分が特に気に入っている。

高校の時の恩師の先生が、人は今までであった人で出来ている、というようなことを言っていた。まさにそうだとこの詩を知って再確認できた気がする。

 

これまでいろんな人に出会ってさよならをしてきた。けれど、きっと人と出会うたびに、その人のわずかな断片が自分の中に残されていて、自分も同じく相手に残せたものがあるはずだ。

 

それにしても、さよならするのはいつになっても上手くならない〜