わずかな自分自身
仲の良い友達が留学に行くので、今日は簡単な送別会のようなものをしてきた。1年で帰ってくるわけだし、特別しんみりするつもりはなかったのだけれど、少しの間でもお別れするのはちょっともの悲しい。
「さよならを言うことは、少しの間死ぬことだ」
ロンググッドバイ(村上訳)の有名なセリフで、小説のセリフの中でも最も好きなもののうちの1つだ。
と言うのも、このセリフには元になるものがあって、それはフランスの詩人、エドモン アロクールの詩だ。
《Partir, c'est mourir un peu,
C'est mourir à ce qu'on aime
On laisse un peu de soi-même
En toute heure et dans tout lieu.》
「離れること、それは少しの間死ぬことだ
愛する人のために死ぬことだ
私たちはわずかな自分自身を
全ての時間、全ての場所に残してゆく」
詩はもっと続くのだけれど、この後半部分が特に気に入っている。
高校の時の恩師の先生が、人は今までであった人で出来ている、というようなことを言っていた。まさにそうだとこの詩を知って再確認できた気がする。
これまでいろんな人に出会ってさよならをしてきた。けれど、きっと人と出会うたびに、その人のわずかな断片が自分の中に残されていて、自分も同じく相手に残せたものがあるはずだ。
それにしても、さよならするのはいつになっても上手くならない〜
ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
- 作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
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